北欧の老舗陶器メーカーのグスタフスベリで1960年代に制作されたマルヴァというシリーズのティーポットです。シリーズ名のマルヴァとはスウェーデン語でゼニアオイまたはウスベニアオイという意味です。同種のアオイは多年生の植物で、本来は紫の花をつけます。その花がらを模して、デザイナーのヴョルクィストは大胆に赤くデフォルメした花柄を全面にあしらっています。取っ手は籐製でどこかオリエンタルな雰囲気があります。
連続した同じ花柄でデザイン性を保つのはなかなか難しいことですが、絶妙な色味とバランスを見事に兼ね備えた北欧モダンらしいシンプルで洗練された逸品です。マルヴァは1965年にデザインされ1970年頃まで製造されました。もともとの生産数が少なかったもので本国スウェーデンでもほとんど見かける機会がない貴重なものです。
■詳細スペック
メーカー：Gustavsberg / グスタフスベリ
デザイナー：Karin Bjorquist / カリン・ヴョルクィスト
シリーズ名：Malva / マルヴァ
年代：1965〜1970年頃
生産国：スウェーデン
コンディション：★★★☆☆（3.5：良品）
側面に細かいペイントロスが見られます。全体的に割れや欠けや貫入はなく、製造時の姿をよく留めている良コンディションとなります。【訳あり理由】取っ手の根本の籐が剥がれており下地の金属が露出しています。現状でも使用上は問題ありませんが、取っ手は補修して使われることをご検討ください。
■サイズ
直径14cm 横幅20cm 高さ19cm
カリン・ヴョルクィスト（Karin Bjorquist）
カリン・ヴョルクィスト（Karin Bjorquist，1927〜2018年）
スウェーデン西部ヴェルムランド郡のセフレ市の出身。ストックホルムの美術大学コンストファックで学び、卒業後の1950年にグスタフスベリに入社する。始め同社のアートディレクターであったヴィルヘルム・コーゲのもとでアシスタントを務める。グスタフスベリには1986年までの在籍しており、その間にインディゴ、コボルト、マルヴァ、デリカテスシリーズなどを考案する。ひし形のマークを随所に配したスヴァルトルーター（Svart Ruter）シリーズおよび深緑の重厚な器のヴァルダグ（Vardag）シリーズはロングラン作品となっている。
ヴョルクィストの最大の作品はノーベル賞90周年を記念したデザインしたノーベルヴィッセン（Nobelservisen）が知られており、彼女のデザインした食器は現在でもノーベル授賞式の晩餐会で使用されている。