パラティッシ(Paratiisi)〜フィンランドの生んだ楽園〜
ARABIAの名デザイナー、ビルガー・カイピアイネンが生んだ名作「パラティッシ(Paratiisi)」。シリーズ名はフィンランド語で「楽園」の意味となります。カイピアイネンによるいくつかの試行錯誤を経て1969年にパラティッシは発売されました。パラティッシは一点ごとに極彩色のプリントを施されており、当時のアラビア食器のなかでも一際手間をかけた高級シリーズでした。石油危機による深刻な経済不況と燃料不足に陥った1974年には製造を中止しています。
パラティッシはバックスタンプと呼ばれるロゴが頻繁に変わることでも知られています。1)1969年のヴィオラ(パンジー)ロゴに始まり、2)1971年前半の年号の刻印を廃止したロゴ、3)1971年の後半ごろに製造されたヴィオラの部分をARABIAのマークを入れ換えた葉っぱロゴ、4)1988年の復刻版で円形の英語ロゴに再入れ換えした王冠ロゴ、5)88年ロゴの色を抜いた2000年中盤の白黒ロゴ、6)さらにサークル状のマークを抜いたタイ製のロゴの6種類があります。2000年中盤のロゴまではフィンランド製となります。タイ製のロゴには”FINLAND”の刻印がないのが見極めるポイントとなります。
とくに2000年代中盤以降の復刻版パラティッシはデコレーションの色が濃く、デザインの線が太い「わかりやすい」作りになっているのが特徴です。1988年までのヴィンテージは色が淡く線が薄いため、随所に奥行きが感じられます。食器としての美しさはヴィンテージのほうが優れています。