グスタフスベリのロゴの歴史 - 北欧食器Tacksamycket

グスタフスベリのロゴの歴史

200年で20回、ロゴを変えたメーカー

スウェーデンの老舗の窯元グスタフスベリ。北欧ヴィンテージ食器のなかでもひときわ有名なメーカーで、リサ・ラーソンやスティグ・リンドベリなど著名なデザイナーが在籍していたため名前は知らずとも作品を目にしたことがある方は多いと思います。

北欧食器のメーカーの特徴の一つはロゴを節目節目に変えていることです。なかでもグスタフスベリは200年の歴史のなかでかなり頻繁にロゴを変化させてきたメーカーです。

現代の復刻版も数に入れると少なくとも20回は変更しています。

ロゴは「バックスタンプ」とも呼ばれ、基本的にカップやプレートの裏面に刻印されます。頻繁に変わったということは違った見方をするとスタンプを見れば食器が生産された年代を把握することができます。

ヴィンテージのグスタフスベリの食器の時代を調べるとき、この手法はかなり役に立ちます。

今日は200年のロゴの歴史についてまとめてみます。

グスタフスベリの歴史についてはこちらの記事をご覧ください。

1825年から現代までのグスタフスベリのロゴの一覧表

Gustavsberg Stämplar

グスタフスベリ200年の歴史のなかでこれだけのバックスタンプが使われてきました。表中で”talet”や”tal”とあるのは「〜年代」という意味になります。

創業当初はGustafsberg

グスタフスベリは創業当初はGustafsbergという綴りでした。ヴィンテージでよく見られるGustavsbergという”v”の綴りになったのは1920年のロゴからとなります。

なお現在販売されている復刻版では再度昔の綴りであるGustafsbergに戻っています。

Gustafsberg

(写真:案外知られていませんが復刻版は実は”f”です)

押し型での刻印

上記の一覧表はバックスタンプをすべて図案化したものですが、1920年代のロゴが登場するまで、基本的にグスタフスベリのロゴはインク式のスタンプではなく押し型で刻印されています。

Gustavsbergのロゴ(1890〜1910年代)

(写真:グスタフスベリのWexiöシリーズのロゴ、シリーズロゴと合わせて会社のロゴが押されている)

つまりインクロゴが押されていないのが20世紀初頭までの特徴となります。そのため、古い時代のロゴは光に透かさないとよく見えません。

マヨルカ

(写真:19世紀後半に製造されたマヨルカシリーズのバックスタンプ)

この当時のバックスタンプの特徴は製造年代の下二桁が刻印されている場合が多い点です。

前述のWexiöでは94とあるので、1894年に製造されたものとなります。上記のマヨルカは82とあるので1882年製ということになります。ともに19世紀の作品となります。

シリーズの別注ロゴも

グスタフスベリには食器のシリーズによっては別注のスタンプが押されている場合があります。代表的なものがBersåシリーズです。

Berså Back Stamp
(写真:同社の看板シリーズだったベルサ)
Pynta Gustavsberg
(写真:グスタフスベリの秀作ピンタシリーズのバックスタンプ)
Prunus Gustavsberg
(写真:根強い人気のあるプルーヌスシリーズのバックスタンプ)

このような場合は食器の雰囲気にあわせた特別なスタンプがデザインされ、シリーズ名とともに”Gustavsberg”が入ります。

グスタフスベリでは現代でも復刻しているシリーズはありますが、すべてGusta”f”sbergの錨マークに統一されています。

ヴィンテージの良さは優れた色彩とともに個々の雰囲気に合わせたバックスタンプが押されている点です。お皿を裏返しても楽しめるのがヴィンテージでも良さでもあります。

年表のまとめ

  • 1825年〜創業当初のロゴ(vではなくfのGustafsberg)
  • 1920年〜Gustavsbergの綴りとなりインク式のバックスタンプ開始
  • 1930年〜ほぼ現在と同じデザインとなる
  • 1940年〜錨の縄が左巻きとなり
  • 1970年〜縄がなくなる
  • 1995年頃 復刻版のFロゴとなる

いかがでしたでしょうか?とくにヴィンテージかどうかを見極めるためには、錨の縄の向きに着目すると分かりやすいです。右巻きで綱が錨に隠れているのが第二次大戦前、綱が左巻きで錨の前にあるのが戦後頃の古いヴィンテージ、縄がないロゴは半世紀ほど前のもの、となります。

近代のグスタフスベリのロゴ
(写真:錨や綱やフォントにも微妙な違いがある)

このようにグスタフスベリ製品はバックスタンプの形を見ると製作された時代を把握することが出来ます。とくに20世紀初頭の古い時代は毎年下二桁の年号を刻印しているので、正確に製作年を知ることが出来ます。

復刻版でも一時期4桁の西暦の刻印が行われていましたが、2015年頃からなくなってしまいました。そもそも復刻版は製品のラインナップが変わらないので、毎年スタンプを新しくする必然性がなかったのかもしれません。

北欧食器のバックスタンプは基本的にいい加減

ちなみにグスタフスベリに限らず北欧食器全般に言えることですが、バックスタンプは薄かったり、ずれて刻印されていることがほとんどです。真ん中に正確に押されているものはほぼありません。

日本的な価値観では商品のスタンプがずれていたらB級品という考えもありますが、機能面を損なうものでない部分ではいい加減でも良い、という北欧らしさが現れています。北欧食器ではスタンプがずれて、かすれて、読めなくても値段は一切変わりません。

 ずれていて読めないバックスタンプ

(写真:このくらいのにじみは良い方です)

こうしたロゴのいい加減さも北欧食器の「らしさ」の一つです。

グスタフスベリのヴィンテージ食器をお探しの際は、年表をもとに時代ごとの製品をぜひ探してみてくださいね。

当店のグスタフスベリのラインナップはこちらからどうぞ♪

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