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北欧食器の魅力と北欧の冬

北欧食器の魅力にはいくぶん季節性や地域性が関係しています。

北欧は北海道よりも緯度が高いところで寒さが厳しいこともそうですが、日本の冬との大きな違いは日照時間が極端に短いことです。

冬場に太陽が出ている時間はだいたい4時間くらいです。

それも朝の10時くらいにやっと太陽が出たと思ったら、午後の2時にはもう薄く暗くなっている、という世界です。

デスク仕事をしているとまともに太陽を見ることは平日はまれです。

反面、ミッドサマーと呼ばれる夏至の時期には太陽が20時間ほど昇りっぱなしになります。

そのため北欧の家やホテルには遮光率が高いカーテンがかならず備わっています。

夜10時くらいに夕陽になったと思ったら朝の3時頃には日の出で明るいため、部屋を暗くしないと眩しくて眠れないのです。

この時期は北欧のもっとも良いハイシーズンで、暑さも日本の避暑地より涼しくて過ごしやすいので旅行されるならミッドサマーの時期をおすすめします。

現地の人々も一年分の太陽をこの季節に貯金するかのように屋外で日光浴をしている姿をよく見かけます。

 

閑話休題で、それだけ太陽の供給過剰と供給不足が一年のなかで繰り返されると、夏は豊かで良いですが、冬はとてもつらく苦しい時期です。

北欧の食器は基本的に夏や春先の美しい景観を食器に封じ込めるような工夫がされています。

(「あずまや」の意味のGustavsbergのBerså柄)

こうしたデザインが雪深く冬の過酷な国で創作されたというのは、普通に考えると不思議なことです。

日本人が北海道の白い恋人に違和感を覚えないようなもので、雪国には雪っぽいデザインを想起しがちですが、北欧食器はその真逆を行っています。

(「あやめの花」を描いたARABIAのKrokus)

そして北欧食器で枯れた木々や草花が描かれることはまずありません。

季節は春や夏のさかりで、しかも草や花などの植物が描かれているのが最大の特徴です。

(「楽園」を意味するARABIAのParatiisi)

ここまで代表的な北欧食器の絵柄をご紹介しましたが、共通しているのは一年でもっとも良い季節の景色を器に封じ込め、食卓でシーズンを問わずに楽しむことが出来る、という点です。

北欧ヴィンテージ食器はいまではある種のアート作品に昇華していますが、状態が良いものが少ないのは基本的にすべて実用本位の食器であるためです。

本当に食卓にハイシーズンの雰囲気をもたらすためにきちんと機能していたことの裏返しでもあります。

日本ではわりと絵画的・芸術的なものとして珍重されますが、北欧の家庭では絵柄が擦り切れるまで使われることも普通です。

とくにBerså柄のプレートなどは文字通り枯れ葉のように葉っぱの色が薄くなったプレートをよく見かけます。

それほど愛されて、酷使され、そして食卓に彩りや厳しい冬場を乗り越える癒やしを与えてきたわけです。

 

ということで、北欧食器は冬にこそ本領を発揮するものです。

今年は例年よりも寒波が厳しいとか?

多くの方のご利用をスタッフ一同お待ちしています。

 

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