「北欧食器」と「北欧ヴィンテージ食器」の違い - 北欧食器Tacksamycket

「北欧食器」と「北欧ヴィンテージ食器」の違い

「北欧食器」と「北欧ヴィンテージ食器」の違いは主に製造時期とデザインのスタイルによって区別されます。

北欧食器: これは広範なカテゴリーで、北欧諸国(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなど)の食器全般を指します。製造時期やデザインのスタイルに関係なく、これらの国々で製造された食器全てが該当します。北欧食器はシンプルで機能的なデザインが特徴的で、自然の要素を取り入れ、色彩も淡いものが多いです。現代の北欧食器は、ほぼ全てが東南アジアでライセンス生産されたものとなります。

北欧ヴィンテージ食器: このカテゴリーは、一般に20年以上前、特に20世紀中頃(1950年代~1970年代)に製造された北欧の食器を指します。この時期のデザインは北欧モダニズムやミッドセンチュリーと呼ばれ、現代の北欧デザインの原点ともされています。ヴィンテージ食器は時間の経過と共にその価値が上がることがあり、アンティークやコレクターズアイテムとして求められることが多いです。北欧ヴィンテージ食器は北欧諸国で生産されたものとなります。

どちらのカテゴリーも北欧の美学や価値観を反映していますが、その製造された時期やその時代のデザインスタイルの影響を受けるため、見た目や価値には違いが見られます。

 

北欧ヴィンテージの代表的なブランド

北欧ヴィンテージ食器の代表的なブランドには以下のようなものがあります:

1. アラビア (ARABIA):

ARABIA アラビア

フィンランドの陶磁器ブランドで、1873年に設立されました。アラビアの製品は、シンプルで使いやすく、洗練されたデザインが特徴で、北欧の自然や文化を象徴するようなモチーフが用いられています。特に、デザイナーのカイ・フランク(Kaj Franck)による「Kilta」シリーズや、ビルガー・カイピアイネン(Birger Kaipiainen)の「Paratiisi」シリーズなど、ヴィンテージの食器は独特の魅力を放ち、世界中のコレクターに人気があります。モダンでありながらも温かみのあるそのデザインは、北欧デザインの代表格として、長く愛され続けています。

 

2. マリメッコ (Marimekko):

marimekko マリメッコ

フィンランドのテキスタイルと家具のブランドで、1951年に設立されました。ブランドのデザインは色彩豊かで、特に大胆なフラワープリントが有名です。もともとマリメッコとは「マリのドレス」という意味でテキスタイルデザインを主としたブランドであったことが由来となっています。ジョン・F・ケネディ夫人のジャクリーン・ケネディがマリメッコのドレスを愛用したことで著名となったブランドです。

 

3. イッタラ (Iittala):

イッタラ

イッタラは、フィンランドを代表する高品質なガラス製品メーカーです。1881年創業以来、シンプルで美しい北欧デザインの食器やインテリアアイテムを世界中に提供してきました。イッタラの象徴的な作品の一つ、"Aalto”はアルヴァ・アアルトによって1936年にデザインされ、その波型デザインはフィンランドの自然を象徴しています。またイッタラ製品はデザインだけでなく、持続可能な生産プロセスにもコミットしており、ガラスを再利用したエコフレンドリーなガラス製品としても知られています。イッタラのガラス製品は、シンプルで美しいデザインと高品質な素材、持続可能な生産手法が融合した、北欧デザインの真髄を体現しています。

 

4. ロールストランド(Rörstrand):

ロールストランド Rörstrand

ロールストランドはスウェーデンの首都ストックホルムで1726年に創業した北欧最古の陶器メーカーです。マリアンヌ・ウェストマンやグンナー・ニールンドやカール・ハリー・スタルハンなどのスウェーデンを代表する数多くのデザイナーが輩出しました。ノーベル賞の晩餐会の食器なども提供しており、日常的な食器をはじめとして芸術的な作品も数多く発表しているメーカーです。ヨーロッパではマイセンに次いで古い陶器メーカーで、現在フィンランド発のメーカーとして知られているARABIAももともとはロールストランドのヘルシンキ工場からスタートしています。

 

5. グスタフスベリ (Gustavsberg):

グスタフスベリ Gustavsberg

スウェーデンの陶磁器ブランドで、1825年に設立されました。グスタフスベリは初期はバスタブなどの住宅設備などを制作していましたが、19世紀後半から芸術的な陶磁器製作に力を入れ、その名が広く知られるようになりました。自然や民間伝承をモチーフにした素朴で美しいデザインでも知られ、スカンジナビアンデザインの一翼を担いました。

特に1940年代から70年代にかけてスティグ・リンドベリやリサ・ラーソンの作品は世界的に有名です。色鮮やかで個性的な形状やパターンが特徴のベルサ(Berså)などの食器シリーズ、リサ・ラーソンの陶器像などは今でも多くの愛好家に支持されています。モダンながらも温かさとユーモラスさを兼ね備えたスタイルで、北欧デザインの黄金時代を築きました。現在でも高い芸術性と技術力、そしてスカンジナビアの風土を感じさせる独特なデザインが評価されています。

グスタフスベリ製品は例外的に現代でもスウェーデン国内で現地生産されています。詳しくはこちらの記事をどうぞ→『グスタフスベリはなぜ高い?』

 

6. ジイ・ガントフタ (Jie Gantofta):

ジイ・ガントフタ 

ガントフタは1942年にスウェーデンで創業した陶器メーカーで、当初は什器を中心に製造していました。転機は1960年代後半には型押し式の陶板を考案したことで、インテリア陶板が主要な商品となっていきました。北欧には室内のインテリアとして陶板を用いる文化があり、日本のインテリアにも親和性があります。現在でもアンティーク市場で多くの陶板が見られ、その色彩とデザインは今でも高く評価されています。 

 

これらのブランドは、モダニズムやミッドセンチュリーモダンなどのデザイン運動に大いに影響を与え、北欧デザインが世界的に認知されるきっかけとなりました。また、ヴィンテージ品はその時代の文化や芸術の風潮を反映しているため、コレクターアイテムとして価値が認められています。

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