フィーカ:スウェーデン式“フリータイム”とは

フィーカ:スウェーデン式“フリータイム”とは

 

fika

 

はじめに:スウェーデンの“ゆとり”ある働き方とは?

北欧・スウェーデンは、高い福祉水準と独自のワークライフバランス重視の文化によって、世界的にも注目されています。夏には平均5週間の長期休暇を取得する社員が多い一方で、効率的に働くことで経済成長や企業競争力を維持しているのが特徴です。

フィーカ(Fika)とのつながり

1950年代のフィーカの風景
(1950年代のスウェーデンのフィーカの風景)

小さな休憩がもたらす大きな効果

スウェーデンの“ゆとり”を代表する習慣として知られるのが、「フィーカ(Fika)」と呼ばれるコーヒーブレイク文化です。職場や家庭、カフェなどで、コーヒーと軽食を楽しみながら人と交流する時間を定期的に設けます。

フィーカが北欧食器の創出・発展に貢献

フィーカ文化は、単にコーヒーを飲む時間だけを指すのではなく、「コーヒーとともに過ごすひととき全体」を重視します。この「心地よいブレイクタイム」の需要が、北欧の食器デザインにも大きく影響を与えてきました。

セムラ
(スウェーデンの代表的な茶菓子の一つ「セムラ」)

スウェーデンの食器ブランド例

Rörstrand(ロールストランド)Gustavsberg(グスタフスベリ)などのスウェーデンの老舗陶磁器ブランドが代表的です。美しく機能的なコーヒーカップやプレートが数多く製作されており、そのデザイン性は世界中で高い評価を受けています。

ベルサ制作風景
(グスタフスベリの代表的作品「ベルサ」の制作風景)

実用性とデザインの両立

フィーカでは、美しい器でコーヒーやお菓子を楽しむことも大切な要素です。こうした日常的な習慣が洗練された北欧デザインを育み、心地よいユーザー体験を提供する食器・テーブルウェアが発展する土壌を作り上げました。

シナモンロール
(フィーカにはシナモンロールも欠かせない)

スウェーデン式ライフスタイルの発信

日本や世界各国でも「北欧ブーム」が起こった背景には、フィーカに象徴されるゆとりある生活スタイルと、そのスタイルを彩るシンプルかつ温かみのあるテーブルウェアの魅力が広く支持されたことがあります。フィーカ文化を通じて、スウェーデンや北欧全体のデザイン文化が国際的に一層注目を集めたのです。

スウェーデン式のフリータイム活用は、単なる休憩や余暇ではなく、仕事の生産性を高めるための重要な要素と位置づけられます。短時間の集中作業と定期的な休息を繰り返すことで、高い効率を維持しやすくなるのです。さらに、仕事以外の趣味や勉強に時間を割くことで新しいアイデアや視点を得る機会も増え、「ゆとり」が創造性の源泉となっています。

ラーゴム(Lagom)の精神

Lagom

「ちょうど良い」「ほどほど」という意味を持つ「ラーゴム(Lagom)」は、スウェーデンの生活文化全般を支える価値観です。過度な労働もせず、かといって怠けるわけでもない絶妙なバランスを追求し続ける姿勢が、国民の高い幸福度を下支えしていると言われています。

スウェーデンは「ゆとり」を大切にする働き方で世界的に注目される一方、高い税率とそれに支えられた福祉制度、高失業率などの影も抱えています。にもかかわらず、イノベーション企業(IKEA、H&M、Spotify、Ericsson、Volvoなど)を輩出する国力を維持しているのは、効率性と柔軟性、そしてラーゴム(ほどほど)の精神をバランスよく取り入れているからと言えるでしょう。

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