赤い曲げ木容器に咲くクルビッツ装飾 スウェーデン伝統の手仕事
スウェーデンの伝統工芸「スヴェップアスク(Svepask)」、薄い木板を蒸して曲げ、楕円形に綴じ合わせて作られた曲げ木の蓋付き容器です。深い赤の地色に、黄・橙・緑・黒・白を用いたクルビッツ装飾(ロスマーリング)が手描きで施され、楕円型の蓋には小さな弓形のつまみと、両端には翼のような跳ね板が立てられています。横幅18.5cm・高さ10cmの実用と装飾を兼ねた一品です。
■作品について
スヴェップアスク(Svepask)は、薄く削り出した木板を蒸して柔らかくし、楕円や丸の輪に曲げ込んで底板と蓋を取り付けた、北欧伝統の容器です。中世から農家・教会・家庭で使われてきた古い形式で、ダーラナ地方を中心にスウェーデン各地で受け継がれてきました。粉やバター、糸、宝物、聖書などを納める用途を持ち、家庭の日用品でありながら、しばしば手描きの民族装飾が施され、家族の誇りや祝祭の華やかさを内蔵していました。
本作の装飾は、ダーラナ地方の「クルビッツ(Kurbits)」または「ロスマーリング」と呼ばれる花鳥文の系譜にあります。容器の側面には、中央に青いボタンを置いたシンメトリーな花飾りが大きく描かれ、両側に橙・桃色の花弁、上下に黒い茎と緑の葉、白い小花が散らされています。蓋の上面にも同様のモチーフが繰り返され、立体の容器全体が一つの絵画として構成されています。
両端に立つ翼のような跳ね板は、紐や手を通して持ち運ぶための構造であり、また視覚的にも蓋の楕円を引き立てる役目を果たしています。蓋の中央には弓形のつまみがあり、片手で開閉できる仕様です。すべての装飾は手描きで、筆運びの微細な揺れが手仕事のぬくもりを伝えます。
■来歴(プロヴェナンス)
本作の底部には、手書きで次のように記されています:
「Denna ask har mamma Ingeborg fått i present till Oset」
(この箱は、母インゲボルグがオセットへの贈り物として受け取ったもの)
家族の手から手へと贈られた背景が記録された、来歴のはっきりとした一品です。大切に保管されてきた様子で、実際に日常使いされた形跡はほとんど見られません。
■コンディション:★★★★☆(4.5:極美品)
スレがほとんど見られず、製造時の姿をそのまま留めた極美品のコンディションです。底部の手書きの来歴と合わせて、長く大切に保管されてきた作品であることが伝わってきます。
スヴェップアスク — 北欧の曲げ木伝統
スヴェップアスク(Svepask)は、薄板を蒸して曲げ、釘や糊を使わずに綴じ合わせる伝統的な木工技法で作られる蓋付きの容器です。スウェーデン中部ダーラナ地方を中心に古くから使われ、家庭の収納や食品保存、教会の聖具入れなど多様な用途を担ってきました。表面に施されるクルビッツ装飾は、ダーラナ地方の壁画装飾「クルビッツ・マーレン」の伝統を継ぐもので、家庭ごとに異なる色合いと筆致が一品ごとの個性を生み出します。
当店で取り扱う北欧の民族工芸は、スウェーデンから直接買い付けたヴィンテージのオリジナル品です。
■詳細スペック
- 名称:Svepask / スヴェップアスク(曲げ木容器)
- 地色:赤
- 装飾:クルビッツ(Kurbits)/ロスマーリング 手描き花飾り
- 素材:木製(曲げ木)
- 横幅:約18.5cm
- 縦幅:約6cm
- 高さ:約10cm(最頂部)
- 製造国:スウェーデン(ダーラナ地方)
