スウェーデンの老舗名窯が紡いだ 北欧ヴィンテージの逸品
スウェーデンを代表する陶芸家グンナー・ニールンドが制作したダブルティーポットです。底部にある鉢をお湯で満たして上部のお茶を冷めないようにする構造になっています。グンナー・ニールンドがロールストランド社に在籍した1940〜1950年代にかけて製作されたものです。底部にはロールストランドのマークとグンナー・ニールンドの名字が刻印されています。通常はイニシャルサインの”GN”が刻印されているものが多くNylund名義のサインはかなり珍しいものです。
グンナー・ニールンドは北欧を代表する陶芸家ですが、その作風はいわゆる北欧モダンのシンプルでファッショナブルなデザインとは一線を画しています。和食器や中国の茶器にも似た造形が特徴的で、絵付けは基本的におこなわず、作品は窯焼きの変化で生じる自然釉の表現のみとなっています。こちらのダブルティーポットは土の荒々しさを持ちつつ、丸くデフォルメされた造形が可愛らさも兼ね備えています。北欧の陶芸界で異色のアーティストの作品として現代まで伝わるものです。
ロールストランド — ヨーロッパ最古級の磁器工房、300年の伝統

1726年、ストックホルムに設立されたロールストランドは、スウェーデン最古の陶磁器工場です。スウェーデン王室の支援のもと、ファイアンス焼きから始まり、やがてボーンチャイナ、フリント陶器へと技術を発展させました。1926年にヨーテボリ、1936〜39年にリッシェーピングへと工場を移転し、2005年12月30日に約280年の歴史に幕を下ろしました。

ロールストランドを彩った名デザイナーたち
マリアンヌ・ウェストマン(1928–2017)は1950年から1971年までロールストランドに在籍し、青い花柄のモナミ(1952年〜)や、大胆なポップアートのようなピクニック(1956年〜)など、スウェーデンで最も愛される食器シリーズを生み出しました。
グンナー・ニールンド(1904–1997)はストーンウェアの巨匠として知られ、深みのある釉薬のアート陶芸で国際的な評価を獲得。カール=ハリー・ストールハーネ(1920–1990)も30年以上にわたりロールストランドでスタジオ作品と量産食器の両方を手がけました。

1930年にはルイーズ・アーデルボルグ(1885–1971)がストックホルム博覧会で発表した「ナショナルサービス」(後のスウェディッシュ・グレース)が、スウェーデン王室や大使館で愛される名品となりました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド

- 1730〜1884年:「Stockholm」または「Rörstrand」の手書き・型押し。絵付け師のイニシャルや年号が添えられることも。
- 1884〜2000年:ロールストランドの象徴的な「三つの王冠」マーク。イタリック体の工場名の周りにスウェーデンの紋章が配されたデザイン。1937年以降は3桁の数字コード(最初の2桁が製造年、3桁目が年内の時期)で年代特定可能。
- 2000年〜現在:王冠をかぶった「R」のシンプルなマーク。2005年にスウェーデンでの生産終了後も使用。
- ヴィンテージ品の特徴:「SWEDEN」または「MADE IN SWEDEN」の刻印はスウェーデン工場製の証。リッシェーピング工場閉鎖(2005年)以前の製品は、手仕事の温もりと北欧デザインの黄金期の品質を持つ貴重なヴィンテージ品です。
■詳細スペック
- メーカー:Rörstrand / ロールストランド
- デザイナー:Gunnar Nylund / グンナー・ニールンド
- 年代:1940〜50年代
- 生産国:スウェーデン
- サイズ:上部:横幅15cm 高さ10.5cm 下部:横幅19cm 高さ11.5cm
■コンディション:★★★★☆(4:美品)
底部の保温用の鉢の内部底と外側の高台部に貫入が見られます。貫入とは製造工程の焼成時に釉薬面に走るヒビであり使用上のキズではなくメーカーの検品を通過したものとなります。漏水はなく使用上の問題はありません。側面に小さく窯焼きのときの陶土の弾けが見られますが、本体そのものは使用歴のほどんどないミントコンディションに近いものです。









