北欧の匠が手がけた ヴィンテージの逸品
スウェーデンの名窯ジイ・ガントフタのコーヒーカップ、ソーサー、プレートのトリオです。ガントフタは陶板で有名なメーカーですが、20世紀中葉には什器も小ロット製造していました。プレートやスパイスジャーなどが定番ですが、こちらは珍しい食器です。カップは半分より下はむき出しの陶土で上部にターコイズブルーの釉薬がかかっています。プレートは大サイズでケーキ皿というよりディナープレートほどの大きさがあります。ソーサーとプレートは素焼きではなく、茶色の釉薬がかかっています。
デザイナーはガントフタ社で什器のデザインを担っていたアニタ・ニールンドという人物です。こちらのトリオは60年代後半頃にデザインされたものではないかと思います。古い時代のガントフタの刻印は曲線を交えた台形で、陶板の四角形のサインとは異なるのも特徴です。アニタ・ニールンドはスウェーデンを代表する陶芸家のグンナー・ニールンドの娘で、リサ・ラーソンと同い年のデザイナーです。デザインに民族的な柄を用いたJanssons frestelse(ヤンソン氏の誘惑)シリーズで知られています。
全体的にゴツゴツとした粘土の質感がむき出しの荒々しい作りですが、チョコレート色の陶土にターコイズブルーの釉薬がよく冴えており、優れた色彩感覚によってつくられた器です。ガントフタ窯は多彩な色彩の陶板で製造していますが、釉薬の表現を得意としたメーカーであったことがよくわかります。
Jie Gantofta — スウェーデン南部が生んだ手描きセラミックの宝庫
1942年、スウェーデン南部ヘルシングボリでヨン・エヴェルト・ヨンソン(通称「Jie」)が創業したJie Gantofta。1944年にガントフタへ移転し、1952年から本格的な陶磁器の生産を開始しました。
当初は日用食器を手がけていましたが、1960年代半ばからは装飾陶器に特化。壁掛けタイル、オブジェ、キャンドルホルダーなど、自然モチーフを手描きで仕上げた温かみのある作品で知られるようになりました。
Jie Gantoftaを代表するデザイナーたち
Jie Gantoftaの最も重要なデザイナーは、フィンランド出身のアイモ・ニエトスヴオリ(1933年〜)です。1967年からJieのためにデザインを始め、約1,300点もの作品を生み出しました。彼の植物や自然をテーマにした壁掛けタイル「ボタニカ」シリーズは、Jie Gantoftaの歴代ベストセラーとなりました。
このほか、エルシ・ボウレリウスは「スコーネの少女(Skånetösen)」などのオブジェで、アンニカ・キールマンは花柄の壁掛けタイルで人気を博しました。創業者の息子スタファン・ヨンソンは鳥をモチーフにしたデザインやWWFコレクションを手がけています。
Jie Gantoftaの刻印について
- マーク:作品の裏面に「JIE」または「Jie」と「SWEDEN」(または「Gantofta Sweden」)が型押し。
- 品番:各デザインに固有の番号(例:No.791, No.841, No.876など)が裏面に刻印されています。
- 手描き表記:初期の作品には「Hand painted」の表記があるものも。
- 希少性:1942〜1992年の50年間のみ操業。1992年に創業者が亡くなり倒産したため、すべての製品がスウェーデン製のヴィンテージ品です。
■詳細スペック
- メーカー:Jie Gantofta/ ジイ・ガントフタ
- デザイナー:Anita Nylund / アニタ・ニールンド
- 年代:1960年代(推定)
- 製造国:スウェーデン
■コンディション:★★★★☆(4:美品)
三点とも使用感がない美品のコンディションですが、カップの縁に製造時の釉薬の剥がれが見られます。使用上のものではなく、製造工程によって生じたものだと思います。
