「バレンシア」アラビア食器の名作
バレンシアは20世紀のARABIAを代表する作品です。1961年に発売され2002年まで半世紀に渡ってロングラン生産されました。ARABIAが東南アジアに製造拠点を移した時期に販売は終了しています。つまりバレンシアシリーズはすべてフィンランド国内で製造されたものとなります。その後は復刻がされておらず、現在はヴィンテージ市場でのみ入手可能です。
シリーズ名のバレンシアとはスペイン南東部の港町の名前で、濃いコバルトブルーの青色が地中海の鈍色の海と強い太陽の日差しを表現しています。デザイナーのウラ・プロコッペは1961年にバレンシアをデザインし、本作はARABIA製品のなかで最もアンティークファンが多い不朽の名作となりました。プロコッペはロングラン製品のルスカ(Ruska)や希少性の高いフローラ(Flora)のデザインも担当しています。
プロコッペは1968年に47歳の若さで病気で亡くなりますが、療養先はスペインのカナリア諸島であり、彼女が生涯にわたりスペインの海辺と共にあったことが伝わります。バレンシアは彼女の死後、他のシリーズと同様にロングラン生産がされ、2002年まで40年以上に渡ってフィンランド国内で製造されました。
バレンシアは絵付け師が一点一点、筆で模様付けを行うハンドペイントという手法で製作されています。ARABIAがフィンランド国外に製造拠点を移してからは廃止された方法で、ハンドペイント=純フィンランド製のあかしでもあります。