一般的に「スティグ・リンドベリのサイン入り」として表現されることが手書きの署名。これは手のマークと”G”の部分を指します。リンドベリによる太鼓判という意味で、残る全体の絵付けは工房でデコレーターの手によって描かれています。
Gマークとはグスタフスベリの頭文字です。おなじみの錨マークのバックスタンプとは異なり、本作品が同社の工房でハンドメイドで制作されたことを示しています。
この写真の場合、”F98”とはシリアルナンバーではなく、製品の型番号です(型を表すFigurの頭文字)。三つ葉マークは担当デコレーターによるサインで、この場合”Anita Roi”さんという方です。グスタフスベリには40名ほどのデコレーターが在籍していました。
スティグ・リンドベリが直々に絵付をした作品もありますが、そこには必ず”Stig L.”のサインが入ります。なので、このサインは「スティグ・リンドベリが監修しました」とでもいうべきものでしょう。
リンドベリはかなりのヘビースモーカーで、写真には必ずと言っていいほどパイプをくわえて姿で写っています。そうしたことも祟ってか晩年は肺がんとなり片側の肺を切除しました。64歳で引退した後はイタリアに移住しますが、ほどなくして亡くなっています。享年66歳でした。
いまでも世界中でリンドベリの作品は愛されていますが、数が少なくなって来ているのか値段も高騰気味です。高価な物ではありますが、基本的に北欧食器は普段使いに供されるものです。割れてしまうものもたくさんあるのでしょう。
かつて精力的にグスタフスベリの工房で多くの名作を生み出し、デコレーターたちと研鑽を重ねた在りし日の姿が偲ばれます。