アルジェンタ(Argenta)— グスタフスベリの銀象嵌シリーズ
アルジェンタ(Argenta)は1930年にグスタフスベリのアートディレクター、ヴィルヘルム・コーゲ(Wilhelm Kåge, 1889–1960)が発表したシリーズです。ラテン語で「銀」を意味するシリーズ名が示す通り、深い緑色の施釉ストーンウェアに純銀を象嵌するという独自の技法で制作されています。

1930年のストックホルム博覧会で発表されると国際的な称賛を浴び、グスタフスベリの名声を世界に広めました。花瓶、ボウル、トレイ、アッシュトレイなど多彩なアイテムが展開され、銀の装飾には花や動物、人魚、幾何学模様、銘文など多様なモチーフが施されています。
コーゲはもともと画家出身で、スウェーデン工芸協会の推薦を受けてグスタフスベリのアートディレクターに就任した異色のキャリアの持ち主です。それまでの北欧陶器はマイセンや中国の陶磁器の影響を色濃く受けた装飾的な食器が主流でしたが、コーゲの作風はシンプルながらも斬新な線や色の組み合わせにより次々と新しいデザインを生み出しました。ミッドセンチュリーと呼ばれる20世紀北欧の黄金期の礎を築いた作家です。コーゲはスティグ・リンドベリの師であり、リサ・ラーソンはコーゲの孫弟子にあたります。
アルジェンタは1930年代から1960年代にかけて製造され、現在はヴィンテージ品として世界中のコレクターに珍重されています。