すこしだけグスタフスベリの歴史の話

北欧食器Tacksamycketで最も取り扱い量が多いスウェーデンのグスタフスベリ。

現在はフィンランドの会社の傘下にあり、実は何度も潰れかかった会社でした。

グスタフスベリは1826年に陶器メーカーとしての歩みをスタートし、それ以前はレンガ工場で建材を供給する会社でした。

 

20世紀の中頃にはミッドセンチュリーと呼ばれる黄金期を築きましたが、

1980年代には経済不況の影響を受けて、

芸術性が売りのグスタフスベリの高価格な食器は、安くて実用的で表情のない「外国に工場のある」製品に圧倒されていきました。

実はこのムーブメントは、価格競争力のある外国企業に敵わなかった、というものではありません。

IKEAに代表される、北欧のシンプルな美を低価格に提供する自国企業によって駆逐された側面があります。

グスタフスベリのボーンチャイナは1万円、東南アジアで製陶されたIKEA食器は素材は一緒で(多少デザインや形は残念でも)一個500円。

これでは勝負になりません。

 

そしてグスタフスベリは1990年代には日本でいうダイエーやイオンのKFという会社に身売りしています。

グスタフスベリの商標はその後たらい回しに遭い、2004年にはドイツの老舗ビレロイ・ボッホ(Villeroy & Boch)に権利移譲され、(なんと)今ではフィンランドのイッタラの傘下にあります。

くわえて現在のグスタフスベリは、実は食器だけを製造する会社ではなくなっています。

もともと陶器製のバスタブなどを製造してはいましたが、いまではステンレス製の水道の蛇口やシャワーヘッドなども製造しています。

かつて、スティグ・リンドベリやリサ・ラーソンを擁して、20世紀のヨーロッパを代表する世界的なメーカーだった面影はほとんどありません。

faucet

  

グスタフスベリは全盛期と呼ばれるミッドセンチュリー(1950年代)と今では全く異なり、かろうじて暖簾が残っている状態とも言えます。

具体的には”Gustavsberg BENPORSLIN”という屋号が解体され、”Gustavsberg”と”Gustavsbergs Porslinsfabrik”に分割されました。

 

前者は蛇口やシャワーヘッドなどの金属製品の製造を、後者は伝統的なグスタフスベリの記念碑的作品の復刻版を製造しています。

ただし、技術的にはミッドセンチュリーよりも未熟な部分もあります。

たとえばBersa(Berså,ベルサ、ベショー)のティーカップを見ても、ヴィンテージの方が青々とした緑を感じられる色味です。くわえてフォルムもまるっとして可愛らしいさがあるのはヴィンテージ版の方です。

ちなみにBersaは「東屋(あずまや)」という意味ですが、蔦が絡まった木漏れ日の差す昼下がりの庭先、というイメージから来ています。

復刻版も丁寧に作られているものですが、一度はヴィンテージ版をお手元に置いて頂ければと思います。

 

ベルサヴィンテージ(復刻版)

(ヴィンテージ)

 

店主 中村

Back to blog